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【ソウルハッカーズ2/レビュー】古参が評価を「駄作」にしている。伸び代を感じる稀な良作

今回はアトラス待望の新作「ソウルハッカーズ2」をレビューしていきます。

結論としましては「色々惜しいところがあり中でもストーリーに難があるが良ゲー」といったところでしょうか。

ちまたの評価を見ると「駄作」「ゴミゲー」など散々な文句を言われている本作ですが、私個人としてはそんなことは一切なく、むしろ過小評価されていると感じます(もちろんゲーム自体がとても素晴らしいわけではありません)

伸び代自体は確実にありますし、そこを改善していけばアトラスの大金星である「ペルソナ」と同等とはいかずとも、その辺りまでにはいけるであろうポテンシャルを持った良作です。

ソウルハッカーズ2


開発元 アトラス
対応ハード PS4/5、XBOX、PC

最初にハッキリいっておきますが、本作のAmazonレビューに限っては99%アテにならないと考えた方が良いです。

それはこのソウルハッカーズ2が20年以上前に発売された初代ソウルハッカーズの続編であり、当時からシリーズを追ってきた一部のファンが「これはソウルハッカーズじゃない!駄作だ!!」と声を荒げているから。

単純にゲームの悪さでそう言ったり、最後までプレイした上でそう言うのならば全然いいと思うのですが、いかんせん本作をボロクソに言う人に限ってそうでないんですよね。

特に多いのは「ソウルハッカーズじゃなければ凡作だった、ソウルハッカーズだから駄作」という感想。こんなコメントを自然としてしまう厄介な古参勢が多いです。

もちろん20年も経ってようやく出てきた続編が全く異なるベクトルで作られた作品だったら批判をしたくなる気持ちも十分にわかります。

でもそれを考慮しても「古参の俺から言わせてもらうとこんなのソウルハッカーズじゃないから!!」というような人が多すぎる。正直それを言ってるのがいい歳したおじさんなのでキツいです。おじさんでなくともキツい。

これは長年経てば製作陣やゲームの作り方が変わるのは当然であって、シリーズファンというだけで続編をボコボコにいうのはどうなんでしょうかねという話。例えるなら3DのドラクエやFFを今でも批判しているようなものですね。

新規である私にとっては本作は確かに神ゲーではないものの「良作」ではあったので古参の態度が相当気になりました

さて重要な話は終えたので、ここからは「ソウルハッカーズ2」がいったいどのようなゲームであったのか、そして本作に似ているペルソナ5(以下略:P5)との比較も交えつつレビューしていきたいと思います。

ソウルハッカーズ/レビュー

ペルソナ5の要素を入れた独自の戦闘

戦闘はペルソナ5(以下略:P5)をプレイした人だとかなり馴染みやすいものになっていると思います。

敵に弱点属性を当てて有利に立ち回ったり、バフやデバフを活用して格上の敵と対等に戦うことも時には強いられます。

P5と全く異なる点としては弱点属性を当てた時の違いです。P5では弱点属性を当てるともう一度同じキャラ(もしくは他のキャラ)で攻撃できましたが、まず本作では弱点属性の攻撃を当てた分だけスタックというものが溜まります。

そして自分のターンが終わる直前、そのスタック数に応じたサバト“という全体攻撃の技が発動して一気に形成逆転できる。そんな独特の闘いを楽しむことができます。

このサバトは物語を進めると「睡眠状態にさせる」ことや「麻痺状態にさせる」などといった追加効果を付与することも可能で戦略が大きく広がります。

P5は物語が進むと戦闘中にできることがどんどん増えていきましたが、なんと本作は武器の強化そのものが戦闘中にできることを増やせるので、自分の武器を強めていく楽しさが確実にありました。これはP5にはなかった楽しさだと思いますね。

もしかしたら「武器を強めていく上でゲーム内のお金は足りるの?」と思うかもしれませんが、本作は比較的お金には困らないゲームですので安心してもらって大丈夫です。

リンゴを演じる大沢氏の演技が素晴らしい

実はいうと本作のストーリーはそこまで賞賛できるようなものではありません。(悪いところで話します)

話の大枠はだいたいわかるのですが、致命的にパンチ力が足りないんですよね。どれも凡庸的でハマりきれないというか。印象に残っているシーンはほとんどありません。

展開自体は良いので見ていて熱くなれるのですが、印象に残らないのがすごくもったいない。

また、ストーリーの掘り下げはソウルマトリクスで解明されるのですが、「それは本編上でやっておくべきでしょー!」と思うものがいくつかあってそれも惜しかった。ちゃんと掘り下げていること自体は好印象です(中には掘り下げない作品もありますし…)

ではなぜ全クリまで進めることができたのか。それはリンゴを演じた黒沢氏の演技が本当に素晴らしく引き込まれる演技だったから。

私は今まで本作のようなアニメ調のゲームをたくさんプレイしてきましたが、声優の演技に魅力を感じたのは後にも先にも本作だけです。

元々リンゴはAinoというものから生まれた存在で人間がよくわからない、でも人類のために活躍する知性体。要はロボットでもないし人間でもないという演じるのが非常に難しい役なんですよね。

ストーリーを追っていくとそんなリンゴがストーリーで関わる人物を通して「人間とはなんなのか」について知っていくようになります。その中で「人間は○○なんだね」という発言に説得力をもたらしたのは大沢氏であることに間違いはありません。

人間ではない彼女なりに人間と触れ合っていく様子を声だけで十分に表現できています。もちろん立ち絵の表情も豊かでいいのですが、やはり声が非常に魅力的。大沢氏の声質自体がどこかぶっきらぼうなリンゴに合っているんですよね。

物語を進めると色々なリンゴの声に触れることになると思うのですが、もがく声は特に強烈だったことを覚えています。あれは本作の数ある印象的なシーンだった。

フィールドや戦闘の快適性がバツグン

アプデ前はダッシュ機能がなかったり、戦闘の高速化ができなかったらしいですが、今現在においてはそんな問題はなく快適にゲームプレイをすることができました。

特にダンジョン内でいつでもセーブできるのは本当に良かったです。地味なところではありますが、「いつでもどこでもセーブができる」というのは本当に助かるんですよね。

P5だとセーブのタイミングが限られており、長いダンジョンだと敵にやられて探索した1時間を無駄にしたことがあったのでこれだけでも評価できます。

悪かったところ

ここからは本作の悪かったところや目立ったところを書いていこうと思います。

ストーリー

どうしてこうなってしまったのか。

今まで色々なゲームをやってきましたがストーリーで不満(に近い感情)を持ったのは本作だけだと思います。補足しておくと、これはただの不満ではなくてクリアまでやるからこそ生まれる不満です。(つまりストーリー自体は破綻することなくできているということ)

少ない予算の中でストーリーを魅せる熱量は十分に伝わってきたので最後まで見届けること自体はできましたが、クリア後の気持ちとしては「なんで“あの人“がそうなってしまったんだろう」というふうにしか思えない(ネタバレ防止のため名前は伏せています)

「登場人物の動機が薄い」とか「そもそも物語が短すぎる」などの問題点もありますが、私にとってはそんなことはどうだっていいんです。その物語でどれだけ熱くなれるか、どれだけ心を揺さぶられるか。これを1番重要視しています。

その理論でいくと中盤から終盤の展開はすごく良かったと思うのです。意外性が高いのでもう一度プレイする意義も感じることができたし、

現在進行形で2週目を始めている私ですが1週目に感じていた登場人物の不自然な行為にも頷けるようになったのでそこは本当に素晴らしいと思います。

でも終盤の終盤でいきなり登場人物の一人が急変したことで私の中で本作のストーリーに対する評価はガクッと落ちてしまいました。

物語において一貫性というものは確実に必要だと思っています。だからキャラクターの心情が変わるにせよ、そこにはそうなった理由を物語の中に描かなければいけない

その理由を知ってプレイヤーはどう思うのかを各々で考えるのが物語を紐解く一種の楽しさだと思います。

しかし本作はその急変したキャラクターの心情描写が圧倒的に足らない。もちろんその心情描写が0とは言いませんが、もっと描写するべきでした。

でも話の尺的にそれ以上描こうとすると展開がもっとわからなくなってしまう。だから描写が足らなかったんだと思いますが、それならそれで別の展開を用意すれば良かっただけの話なんです。

無理やりキャラクターを急変させたのは本当にいちばんの失敗であり、それまで本作の細いストーリーがどうにか築いてきた熱い展開や成長シーンを潰した最悪の描写だと印象付いています。

ネタバレありの感想は真エンドクリア&DLCの追加ストーリークリア後に執筆する予定です。(なんだかんだDLC買ってますw)

ダンジョン

ダンジョン自体は特段と作り込まれているわけではなく、ある程度ストーリーに合わせたごく普通のタイプです。1つ1つのダンジョンは長くもなく短くもなく丁度いい感じでした。

とはいえクリアする前はなんとも思っていませんでしたが、今考えるとダンジョンの風景が全体的に暗く殺風景だったと感じます。ペルソナ5のような多様なダンジョンを期待すると肩透かしを喰らうかも

また、キャラクターの掘り下げが行われるソウルマトリクスに至っては、ほとんど同じようなダンジョンになっており、作業ゲーが苦手な方は途中で投げてしまう可能性があります。もちろんやらなくていい場合もありますが。

ちなみに、最近プライベートの方で「ペルソナ3ポータブル」というゲームをやっていた自分からするとそんなソウルマトリクスでも「まぁまぁいい出来なんじゃない?(感覚麻痺)」と思ってしまうところではあります笑

全体的に勿体無いところが多い

本作はプレイしていて本当にもったいないところが多かったです。

  • スイッチで出していない
  • よいグラフィックなのはいい→それを活かしきれていない

特に「スイッチで出していない」という点は本当に勿体無いし今すぐにでも発売するべきです。

せっかく新規にもアプローチできる作品なんだから、スイッチしかゲーム機を持っていない人も遊べるようにすればグッと評価が上がるはずなのに発売していないのは本当に勿体無いと思いませんか。

グラフィック的にも最適化すればスイッチに出せるでしょうし、ゲームプレイ的にも携帯機として遊べるスイッチに素晴らしく合っているのに発売していないのは本当に不可解です。

作業ゲーに近いソウルマトリクスを携帯機でやれたら超最高だと思うんですけどね。

もしかしたら一年はPS・XBOX・PCのみで発売して熱が冷めてきた頃合いにスイッチに出すという策略なのかもしれませんが…。

総評:迷いながらも新規にアプローチをかけた意欲作

22年12月ごろに掲載されたこちらのインタビュー記事を見ると、やはり製作陣の方々も「これはソウルハッカーズであるのか」という疑問はあったようで、その中でも新規にアプローチをかけられるように新しい作品を作るに踏み切ったらしいです。

結果としては古参勢からはボロクソに言われ、私のような新規からも良ゲー止まりの評価を受けた本作ですが、その挑戦心や意欲は評価に値すると思います。

もちろん製作陣の努力だけ賞賛されるような作品ではなく、その作品に出演する声優の演技も良かったです。

その中でもリンゴを演じた大沢氏は本作の大黒柱と言っても過言ではありません。(他のレビューを見てみると本作は大沢氏のおかげで成り立っている、との声もありましたし)

仮にソウルハッカーズ3が出るのであれば、2で出た反省点をしっかりとブラッシュアップし、独自の戦闘や快適性を強化すればとんでもない作品になるのではないでしょうか。製作陣の方々に期待しています。

ここまで見ていただきありがとうございました。参考になれば幸いです。