Hanbagu Blog

ゲーム系の情報を中心に更新中

発売から約半年……。評価が落ち着いてきた今こそゼノブレイド3について分析してみた

販売本数は国内48万本、海外124万本で全世界合計172万本にまで上り詰めており、“大ヒットゲーム“と言って差し支えない作品となったゼノブレイド3(以下略:ゼノブレ3)。

実はいうと「市場価格」「国内と海外の評価の違い」「前作との相違点」を考慮するとゼノブレシリーズとしてはあまり良く現状であることも事実です。

今回は半年が経って評価も落ち着いている今、何よりもレビュー記事を書いた当時よりもゼノブレ3の熱が冷めてしまった(いい意味でも悪い意味でも)私がさまざまな観点から本作について分析し再評価していこうと思います。

ネタバレを含みますので未クリア者はブラウザバッグ推奨です。

ゼノブレイド3を各面で分析

本記事では以下の面でゼノブレイド3を分析します。

  • 現状(市場価格・評判など)
  • グラフィック
  • ストーリー
  • BGM

ストーリーはもちろんのこと、グラフィックやBGMなどのことについても分析した内容を書きました。

この分析を踏まえた上で私個人の最終的なゼノブレイド3の評価を下そうと思っていますので、是非とも最後までご覧ください。

現状:ゼノブレ3のいま

まずはゼノブレ3の現状について箇条書きしてみます。

  • 中古価格が大きく下落中(23年3月現在だと3000円程度)
  • だが「歴代最高傑作」の声も見受けられる
  • DLCの追加ストーリーにおいて派閥ができた

第一に中古価格が大きく下落しています。ゼノブレ2でも4000円下回るかどうか(しかもDLCが発売される前)という感じでしたから、3000円という中古価格は異例中の異例と言っても良いでしょう。

基本的に中古価格はゲームの評価に比例しており、高評価なゲームほど中古価格は新品の価格とさほど変わらなかったりします。例を挙げるとするなら「ペルソナ5」「ゼノブレイド2」など。

(「モンスターハンターワールド」のような内容がとても素晴らしく評価もいいのに中古価格が1円のゲームもありますが、それはまた特別です)

話を戻しまして、なぜゼノブレ3の中古価格がこれほどにも下落してしまった理由ですが、私は2つあると思っていて、1つは「増えすぎた新規がゼノブレの雰囲気に馴染めずに低評価をつけた」こと。もう1つは「単純なゲームの出来の悪さ」にあると思っています。

販売本数を見ればわかる通り、本作はゼノブレ2のスマブラ参戦やジワ売れが引き金となり、新規層を多くゲットすることができました。しかしそれがむしろ仇となり低評価をつける新規層が多くいます。

なぜ彼らが低評価をつけているのか、それは「ゼノブレ恒例の『ムービーが長い』」「戦闘がよくわからない」「ノリが合わない」など。ゼノブレファンとしては到底理解できないことだと思いますが、新規にとってはこれらがストレスの要因となるそうです。

特に本作の場合、1や2をやっていないと更によくわからない展開になるので余計に新規は良い印象を持たないでしょう。

しかしながらファンの中では「ゼノブレ3は最高傑作だ」との声も見られます。特に海外でのウケはめちゃくちゃいいですね、国内よりも批判の声はあまり見られません。最近になって批判の声をちらほら見かけるかな……?といったぐらいです。

以下のことから現状はまずまずです。いい意味でも悪い意味でもDLCの追加ストーリー次第といったところ。

グラフィック面:スイッチの限界に挑んだ

本作を遊ぶことができるSwitchは、PS4XBOXなどと比べると約25%程度の性能しか持っておらず、任天堂製ゲーム(スプラやカービィなど)でないと十分なグラフィック・満足いく動作が期待できません。

すなわち任天堂以外の会社がスイッチでクオリティの高いゲーム制作を目指した場合、他のゲーム機と比べて制作のハードルが圧倒的に高いです。

そして安定して動かすためには最適化作業をすることが必須ですが、その分使える時間が取られるので開発側がやりたいこと・求められていることを満足してできていないのが現状です。

その良い例が去年発売したポケモンSVでしょう。(ポケモンSVは株式会社ゲーフリが開発しています。販売元は任天堂

スイッチで出すというのに流行りのオープンワールドを安直に採用したせいで、処理落ちやカクツキの酷さが見られ、肝心のフィールドもお目当てのポケモンがいるから質が高いように見えて冷静に見るとかなりスカスカです。(ポケモンファンのほとんどは初めてオープンワールドに触れるので問題にはならなかったが)

ではゼノブレイド3はどうだったのか。

モノリスソフトの圧倒的な技術力を思い知らされます。どうしたらスイッチでここまで広いフィールドを描くことができるのでしょうか。スイッチの限界ギリギリを攻めているということが伝わってきます。

システムの構造がだいぶ違うので単純な比較はできませんが、あのポケモンSVを動かしているゲーム機でこの壮大さや美しさを実現しているんです。もはや狂気さえ感じませんか。

Wiiの頃からそうですがモノリスソフトは限られたスペックの中でも工夫を凝らし、プレイヤーに“ゼノブレイド”の独特な世界観を見せてくれる最高のゲーム会社ですよね。ゼノブレイド3もまたスイッチの限界を最大限に引き出したゲームの作り方をしていて本当に素晴らしいです。

それでいてロードもまぁまぁ早い作りになっています。流石にリマスター作品のゼノブレDEには敵いませんが、体感としてはどのロードも10秒もあれば終わっている印象です。

ストーリー面:伝えたいもの、伝えられなかったもの

ゼノブレイドらしさをなくそう」という監督の意志のもと作られたゼノブレイド3。

果たして制作者がこの作品を通じて伝えたいものはプレイヤーに伝えられたのでしょうか。

ハッキリ言います。ゼノブレイド3は作者に込められた想いをほとんど伝えることができませんでした。

それは私のようなゼノブレファンでさえ完璧には理解しにくいストーリー展開、言い換えると「ゼノブレ」らしさがないために何か物足らない感じがあったから。そして発売前に公開されたインタビュー記事を見てからプレイしたプレイヤーが少ないことも、そうなってしまった原因の1つです。

アマゾンレビューやツイッターで本作をボロクソに言ってる人がちらほらいますが、そんな方々の99%はインタビュー記事を見ていないと言いきれます。それぐらい開発者の意図を理解せずに本作を遊ぶ方が多かった(まぁ理解しないと「?」になるゲーム構造に問題があるといえばある)です。

例えば敵であるメビウスが“ただの悪”であり、従来のような「敵だけどいいやつ」ではないことに対して、いちゃもんをつける人がいますが、インタビュー記事を見ると高橋監督はこれについて「敵を“悪なら悪”として描いてみることにした」と明言しています。これはまさに伝えたいことが伝えきれていませんよね。

そもそもの話でいうと「ゼノブレらしさをなくそう」という本作に対する監督の意思を汲み取っていないプレイヤーが多くいる気がします。

今までのゼノブレイド(クロス除く)は作中で伏線をばら撒いて、終盤で回収していくのが当たり前でしたが、3は撒くだけ撒いて放置していることに対してプレイヤーは不満を持っています。

しかしそれは“あえて”のことではないでしょうか。私としては監督は今までのゼノブレのやり方から一歩外れた手法でゼノブレイドというものをやりたかったんだということを、インタビューや本編でしみじみと伝わってきました。

もちろんその行為に賛否両論分かれるのは当然ですが、設定を細かく説明してそれをプレイヤーに受け取ってもらうのではなく、むしろ「理解しようとするな。感じろ、そして考察しろ」という意思を持って作られた物語だとすれば辻褄が合うんですよね。

海外の方では国内ではありえないほどゼノブレイド3の物語が大絶賛されています。それはまさに「感じながら」プレイしている海外ゲーマーだからこそだと思うんですよ。

対して国内のプレイヤーは「感じながら」プレイしているのではなく、従来のゼノブレの通りに「理解を求めて」プレイしているから物語に対して不満を感じやすいのではないでしょうか。

また、ムービーが長いのでうっかりスキップしてしまい、なんとなくでしかストーリーを掴めていない人も少なからずいるはず。これに関してはゼノブレシリーズ自体の宿命といいますか、“ゼノブレはムービーゲーの代名詞“と言われるほどなので仕方ないかと。

ただ本作のムービーは流石に長すぎました。正しく断捨離できていないように思えます。

では逆にプレイヤーに伝えることができた作者の伝えたいものはなんだったのか。それは本作が「ゼノブレイドの集大成」だということです。

あらゆるところにゼノブレイド1、2の面影が見え隠れしており、世間の評価は「ゼノブレと比べて〜」「ゼノブレ2のような〜」など前作や前々作と比べているものが多く見られました。

実際のところ高橋監督はこのゼノブレイド3でいったんのケジメをつけると発言しており、初代から始まったクラウス編は幕を閉じ今は新しいゼノブレの準備期間、強いていうならばDLCの追加ストーリーに力を入れていると思われます。

良くも悪くもプレイヤーにはこのゼノブレイド3が集大成だということがしっかりと印象付けられたので、気持ちよく新生ゼノブレイドが作れそうです。

DLC:ゼノブレ完結には追加ストーリーが不可欠

先ほども書きましたが、本作の物語は従来のゼノブレとは違い「感じろ、そして考察しろ」をモットーに描かれたと私は予想しています。それは本作がゼノブレの集大成だということにも関わりがあります。

DLCのメインビジュアルは未だに謎が多いですが、本作のDLCは黄金の国イーラのような深掘り最優先の話ではなく、どちらかといえば深掘りをしながらファンサービスにも充実したコンテンツだと考察しています。

なぜならば、ゼノブレ3のDLC「ゼノブレの集大成をやる最後の機会」「本編で撒かれた伏線の回収」「歴代主人公が持っていた剣が登場する」、以上の3つの点を必ず抑えなければいけないから。

要するにこのDLCゼノブレイド3だけには収まらない、ゼノブレイドシリーズ(クロス除く)自体に影響を与えるコンテンツだということです。

だからこそゼノブレファンはこのDLCを絶対に買うべき。

※追記

上の文章はDLC4の詳細情報が公開される前に書いたものです。「歴代主人公が持っていた剣が登場する」とありますが、PVを見る限りモナドREX以外は出ることがなさそう……?

音楽面:GOWに奪われたベストミュージック賞

去年、年に一度だけ開催されるゲームアワードでたくさんの受賞やノミネート作が発表されました。

そんな中、ゼノブレイド3はゲームオブザイヤー、ベストミュージック賞のノミネートに輝きファンたちは歓喜。これには「ゲームオブザイヤー受賞は無理だとしてもベストミュージック賞なら受賞がありえる」と誰もが期待していました。

しかしながら結果としてはゴットオブウォーラグナロク(以下略:GOW)が受賞という結果に。これには「残念」「GOWが受賞か」などの声が多く挙がったのですが、私としては残念というよりも怒り心頭といったほどでした。

GOWをプレイしたからこそ言えるのですが、あの作品はプレステの限界を最大限引き出した美しいグラフィック、北米神話をもとにしたストーリー、個性豊かなキャラクターが魅力であって、決してBGMに長けてはいません。(GOW自体はとてもいいゲームですよ)

GOWのBGMはほとんどが重厚で暗めなイメージを持つ反面、ゼノブレイド3のBGMは1と2のメロディを組み合わせた楽曲や、切なさや緊張感を織り交ぜた楽曲など、初代から楽曲担当をしている光田氏やACE+氏だから作れた音楽の集大成。だからこそ受賞しなかったことが、とても大きな謎でとても悔しいです。

正直なところ光田氏やACE+氏に同情してしまう。結局のところSIEという大きなバッグがあるだけで受賞できるとは、やはりゲームアワードはアテにならないなと。

とはいえオーケストラverの「命を背負って」が聴けたのは嬉しかった。ゼノブレ3では初の生演奏……。いつか全ての曲を生演奏してほしいですね。

最終的なゼノブレ3の個人的評価

では分析を終えた上で現在において私個人の「ゼノブレイド3」の最終的な評価をここに記します。熱が冷めた今、このゲームを評価するのは自分にとっても皆さんにとっても良いデータになると思います。

単純なストーリーの良さでいえば「1>2>3」。

戦闘・BGM・探索の楽しさを考慮すると「2>3>1」。

トータルで満足度が高かった順番は「2>1>3」。

こんな感じです。ゼノブレ3のクリア直後はあの素晴らしいエンディングのおかげで「ゼノブレシリーズの最高傑作だ!」と本気で思っていました。

ですが熱が冷め、約半年経った今では「ゼノブレ3ってそこまでストーリーはよくないし、それを擁護する信者がキツくないか」と少し不満があるのが私の正直な感想です。

本当にゼノブレイド自体は大好きですし、Twitterでも散々ゼノブレ関連のツイートばかりしているので今でもめちゃくちゃ好きなタイトルの1つということには変わりありません。

しかし、最近になってゼノブレ3に不満を感じてしまったのは、とある考察動画にて私が「六氏族についてなぜ興味があるのか。シンやメツとは違って本編のキャラに関わりのない過去キャラを知って何になる」とコメントした際に信者の方々からめちゃくちゃ叩かれたのがキッカケです。

私としては六氏族の解明よりも、主人公であるノアの掘り下げ・リク本人は何者であって師匠は誰なのか、など本編で登場したキャラクターをとことん解説するべきだと思っていて。(ゼノブレ2のイーラはまさにそうで、シンメツやヒカリなどの掘り下げがあって非常に満足なコンテンツでした。)

本編に登場したキャラの謎が解明されていないのにも関わらず、六氏族の方が気になるというユーザーがたくさんいるこの現状は「3の本編自体はそこまで面白くなかった」というように言えると思うんですよね。

言うなれば本編キャラが出てくる物語よりも過去キャラが出ているであろう六氏族の方がユーザーは気になっているんです。すなわち本編の物語はユーザーにとって「まぁなんか感動したし良かった!じゃあ次はよく分からない六氏族を見せてよ!」で終わっているということ。

別にそれでいいじゃんと思う方もいるかもしれませんが、1や2はそんな物語ではありませんでした。

1は本編が完成された状態で追加ストーリーを出しましたし、2は本編キャラに深い繋がりがある追加ストーリーを出した。しかし3はまだ本編が完成してもいないのにも関わらず六氏族関連の追加ストーリーを出そうとしている。

なのにゼノブレ界隈ではこれに対する批判がほとんどなく、むしろ「六氏族よりも他に解説するべきところがある」という意見を叩くのに必死になっているわけです。

「本編の補完=六氏族」の勘違いによるものも大きいでしょう。いくら六氏族の正体がわかってもノアやリクの秘密は明かされません。

謎大き主人公とシティで拝められてきた銅像。どちらが気になりますかと言ったら普通は主人公なんですよ。主人公あっての物語なんですから。しかし今のゼノブレ3界隈の流れは「シティで拝められてきた銅像」の方が気になるという事態になっています。

それにしても私がコメントした際に暴言を吐いてきた人もいましたし、ゼノブレ信者ってこんなに過激だったかな?と少し心配になりました。まぁ中高生もしくは、いわゆる子供おじさん(主にゼノギアスから追ってきている人たち)が好むシリーズでもありますから当たり前ではあるのかな。

「信者」って言葉はあまりよろしくないと思うんだけど本心を言うならそれぐらいは必要かなと思い使った。

まぁ色々な意見があると思うんだけど、ハッキリ言って私には六氏族の重要性が本当にわからない。あの銅像になんの魅力があると言うのだ?

このゲームは過大評価だったのか?

では最後に〆です。

このゲーム、YouTubeで「ゼノブレイド3 レビュー」と調べると「神ゲー」とか「JRPGの頂点」などと言われまして、他のレビューサイトと比べるとなんだか過大評価のようなものを感じます。

結論から言ってしまうと、シリーズを追ってきた人たちはストーリーを含め過大評価をしている傾向があり、新規や前作をプレイしてはいたけど遊び尽くしてはいない人は真っ当な評価をしている傾向にあるでしょう。

前作キャラが出ただけで「モノリスありがとう」と言うファンもいますが、新規はそんなことは知りませんしある意味で客観的な評価を下しています。

実際、ゼノブレ3を絶賛しているユーチューバーは過去動画を見てみるとゼノブレシリーズを追ってきている人が大半ですから、彼らが下す評価もそれはそれで間違いないです。

しかしゲーム単体としてみると、ゼノブレイド3は「歴代最高傑作」ではありませんし、もっともっと深掘りできたゲームだったと私は思います。

特に物語はもっと何かやれたことがあったはずです。過去記事やTwitterでも言った気がしますが、集大成となる作品で「ゼノブレらしさを失くそう」は逆張りにも程があります。しかもその「ゼノブレらしさを失くした要素」がハッキリと分かるのでとてもモヤモヤします。

DLC4で評価が覆るかもしれませんが、むしろシュルクやレックスの登場、そしてアルヴィースの登場が確定したことによって更に不安になっているのも事実です。実際、そういう人は多いのかDLC4の詳細情報が公開されたのにも関わらず買取価格が下落していますし。

本当にゼノブレイドが大好きだからこそ、このゼノブレイド3は考えれば考えるほどに「これで良かったのか?」と思うようになってきました。

5ch(ネット掲示板)でとても参考になったスレッドがあったので紹介します。

このスレにも書いてありますが、今のゼノブレイドの物語はファンありきで評価されている面がすごくあると思っています。言い換えればファンの声があまりにも大きすぎる。

「コアなゲームであるからそれでいいじゃないか」と思う方もいると思いますが、その「それでいいじゃないか」で今まで一体どれだけのゲームが見放されてきたか。

そういう事実を知っているからこそゼノブレイド4(仮)では初代のように新規も感動できるようなストーリーを高橋氏に書いてほしいと切に願っています。

最後の希望、DLC4に期待を込め、この記事を終わりたいと思います。

ここまで見ていただきありがとうございました。参考になれば幸いです。