今回はペルソナ5 スクランブル(以下略:P5S)をレビューしていきます。
ペルソナ5の正式な続編かつアクションゲームとして打ち出されたP5Sですが、しっかりとペルソナ5の設定は受け継ぎつつ、アクションゲームに全振りしたペルソナを遊べることができて個人的には満足度が高かったです。
もちろん初のアクションゲームということで粗が目立つのも事実ではありますが、むしろこれからの外伝ペルソナはP4Uのような格闘ゲームではなく本作のようなアクションゲームにしてほしいと思うようになりました。
いいところ、悪いところ含め徹底的にレビューしていきたいと思います。それではどうぞ。
概要:ペルソナ5 スクランブル
対応ゲーム機 | Switch,PS4・5,XBOX ONEなど |
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アトラスとコーエーテクモがタッグを組んで制作したペルソナ初のアクションゲーム。
ペルソナ5の約半年後が描かれ、とあることをキッカケに怪盗団が東京の街だけなく仙台や沖縄まで不可解な謎を解いていきます。
後日談ということでペルソナ5をプレイしていないと肩透かしを喰らう可能性がありますが、私としては本編をプレイしてからペルソナ5をやるのもそれはそれで面白いんじゃないかと思いますのであまり気にしなくてよいです。
ペルソナ5 スクランブル/レビュー
コマンドとアクションを融合させた戦闘
まず本作の最も魅力的だった点は「ペルソナ5」の要素を取り入れたアクションバトルにあります。
正直プレイ前の私は、「ペルソナ5でアクションゲームは無謀すぎるのではないか」と思っていて、本作1番の魅力である“戦闘”にあまり期待はしていなかったんですよね。
しかしプレイ後はこんな意見が一変。なにがいいかって操作がめちゃくちゃ気持ちいいんですよ!
アクションバトルの重要な部分といえば「操作の快適性」「操作のしやすさ」「操作をどれだけやり込めるか」のどれか3つに集約できると思うのですが、本作はどれも高水準のレベルに達しており操作していて本当に楽しい。冗談抜きのマジです。
ギミックを組み合わせて上手に戦う場面もありますし、ただただ敵をボコボコにしていく爽快な場面もあります。
それにプラスでペルソナ5のペルソナの属性攻撃(このペルソナの技は選択時に時間が止まる設定)の要素を入れており本編のようなコマンド感覚を味わえます。
難易度自体は少なくとも簡単とは言えないレベルですし、無双ゲームな訳でもありません。しかしやり込んで強い敵に勝てた時はとても楽しいゲームです。
本編のコマンドバトルとは大きく違うものの、受け継ぐべきものはしっかりと受け継ぎつつ独自性に優れた戦闘だったので好印象でした。
本編よりも刺さる?スピンオフでも深いストーリー
意外だったのはストーリーが本編よりも面白かったということ。
これは「本編のストーリーが悪かった」と言っているわけではなくて、P5Rをクリアしたプレイヤーからしてみれば後日談というだけで神ストーリーなのに、その後日談は本編とは全く異なるベクトルで描かれるのに収束する結末は同じであるのが面白かったということです。
例えばP5Rでは描かれる敵は全て人間のクズでどうしようもない存在であったと思うのですが、本作は道を踏み間違えなければ真っ当に生きていただろう人間が敵として描かれていきます。もちろん主人公たちはそんな彼らを本編と同じように華麗に断罪していくのです。
そしてその中で黒幕が一体どのような思想を持って、そんな惜しい人間を敵として君臨させたのか。これもまたP5Rの真ラスボスとベクトルは違えども目指していることは同じでした。
違うベクトルで物語を描いてはいますが、やっていること描きたいことは本編とさほど変わらず、それでいてボリュームもスピンオフとしてちょうどよかったのでストーリーにおいての満足度が高かったんだと思います。
ちなみにムービーをスキップせずにクリアした場合、だいたい35時間ほどでクリアできるのではないでしょうか。本編に比べれば45時間も短いわけですが、むしろ本編が長いというだけで普通のゲームとして見ればちょうどいいですね。
新キャラクターの魅力
新キャラクターとして主に善吉、ソフィアが登場しています。
二人とも物語の中核を担う存在で、序盤から終盤まで本作のストーリーを引っ張ってくれた熱いキャラクターでした。
特に善吉の存在は「ペルソナ5」の根幹を揺るがしかねない存在で非常に面白かったです。ネタバレになるのであまり多くは語ることができませんが、少年少女が成長し大人に反逆していくペルソナ5において、その少年少女に協力する大人ポジションを用意するのはかなり挑戦的な意欲を感じましたね。
ソフィアもAIとして怪盗団メンバーに所属することになりますが、徐々に徐々に人間とは何かを知っていく、ありふれたといえばありふれた物語ではありますがペルソナ5メンバーのおかげでそんな気は微塵も感じず物語を楽しむことができると思います。
日常パートの出来栄え
本作は「とあるコト」をきっかけに日本一周をすることになった主人公たちが描かれますので、必然的に探索できるマップも東京から北海道・沖縄、京都、仙台など代表的都会を舞台としたところが多いです。
1つ1つのマップは広いわけではなく、ところどころに名物ものがあるといった感じで探索の面白さというのはあんまりですが、本編では描かれなかった怪盗団メンバーの旅行時の会話パートが充実していて面白かったです。
意外にもこの会話パートがキャラの掘り下げにも繋がっており、意味のあるパートだと感じました。
微妙なところ
UIデザインが本編よりも劣っている
仕方ないとは思うんです……汗
そもそも本作はコーエーテクモが開発の主なのでUIはアトラス製ではありません。すなわち発売前から本編よりもUIの質が落ちることは明確だったと思います。
むしろコーエーテクモのUI担当はよくやったと何様ではありますが褒めたいです。本編と同格のUIとは言えませんが、それでも「やれるところはやったぞ」という熱い想いを感じました。
本編のUIデザインがエグすぎるだけなんですよね。あれだけ快適な操作性を維持しながら「オシャレなペルソナ5」にぴったりフィットするUIを作り出しているんです。今でも若干引いてしまいますね(いい意味で)
改めて見比べてみると本編のUIデザインがいかに細かく作り込まれていたのかがハッキリしました。
敵が硬く爽快感を感じずらい
一部ですが、ギミックもなく属性攻撃をしてもさほど怯まない単純に硬いだけの敵がいます。
これはまぁまぁなストレスでしたね、ゲーム難易度を下げてもまだ固かったりしたので「いつになったら倒せるんだよ」と思いながら苦戦していた記憶があります。
総評:アトラスとコーエーテクモの意欲作。次作に期待
以下、総評です。
ペルソナ5 スクランブルは“ペルソナ”としても“アクションゲーム“としても満足いく作品でした。
やや難易度が高い一方でクリアした時の達成感は凄まじく、本編とは違った「スリルある戦闘」を楽しめます。ペルソナによる属性攻撃やカッコいい「Show Time」は必見です。
ストーリーについては別途で「ストーリー感想」を書くほどの驚きはありませんでしたが、本編の後の怪盗団メンバーを見れたのは単純に嬉しかったですし、怪盗団として活躍する彼らを再び見ることができてとても嬉しかった。
本編のエンディングもまたよかったですが、本作のエンディングはより一層「再会」について言及していて、きっとこれから先も彼らは楽しくやっていくのだろうし、もしかしたらそれがまた描かれるかもしれないという希望も垣間見えて良かったです。
初のアクションゲームということでアトラス側は制作に相当苦戦したと思われますが、しっかりとした“意欲”は感じることができました。もしまた本作のような作品を作ってくださるのであれば、本作の粗をなくしてより一層完璧なものを制作してほしいですね。
120%で褒めちぎることはできませんが、これからのペルソナシリーズに繋げられる作品としてみれば最高のゲームだったと思います。
ここまで見ていただきありがとうございました。参考になれば幸いです。