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【P5R/レビュー】ゲーマーなら必ず遊べ。JRPGの革命作品

今回は「ペルソナ5 ロイヤル(以下略:P5R)」のレビューをしていきたいと思います。

クリア時間は約80時間。本記事の画像は全て10月21日に発売されたスイッチ版となります。

ペルソナ5 ザ・ロイヤル


開発元 アトラス
発売年 2019年(リマスター版は2022年)
ハード PS4/5、XBOX ONE、Switch、PC

舞台はこの日本に実在する東京の街。

とあることがキッカケで前歴持ちになってしまい東京へ引っ越した主人公は、ふとしたことから反逆の意思である「ペルソナ」の力に目覚める。仲間との出会いをキッカケに「心の怪盗団」を結成し世の中の“悪“を成敗する痛快ジュブナイルストーリー。

主人公たちは高校生として、怪盗団としての二重生活を過ごしながら社会に変化をもたらしていきます。

無印版は2016年に発売されていましたが、この完全版と言えるロイヤルは「追加シナリオ」「新規ペルソナ」「PS3や4以外でのプレイが可能になった」などまさにゴージャスな作品です。

本記事ではそんな本作を徹底的にレビューしていきたいと思います。

結論だけ言うと正真正銘、素晴らしすぎる作品でした。

良いところ


スクショが映えるUIデザイン

こんなメニュー画面、見たことある?

2Dモデルのジョーカーを背景に、選択項目を横や縦に追いやることなく真ん中に配置するシンプルさ、それでいて背景を濁すことなくお金やパーティメンバーの体力・気力が一目で分かるように配置する工夫。

メニュー画面の1つを見ても、この凄さ・工夫を実感できると思います。ここまでUIに関してデザインに特化した上で操作性にも配慮されているのは間違いなく本作だけです。

続きましては戦闘シーンでのUI。

オシャレ……スタイリッシュすぎる!!

ドラクエのように攻撃から作戦指示まで何回も十字キーを押す必要はなく、指定のボタンを押すだけでやりたいことがすぐにできてしまいます。

また、ロイヤルは特別な攻撃「ショウタイム」が発動できるようになると更にUIが変わる特別仕様。

普通は赤を基調としていると画面がチカチカするはずなんですが、そういうのが全くありませんよね。

こんなにもUIに対して「かっこいい」「スタイリッシュ」と思えるゲームはペルソナ5だけですし、これまでもこれからもこのUIを超えるゲームはなかなか出ないのではないかと本気で思います。

ちなみにUIデザインに関してはこちらの記事にて制作秘話などが語られているので参考までに。

コマンドバトルながら億劫さを感じさせない戦闘

本作の戦闘は最近のRPGではあまり取り入れられていない「コマンドバトル」が採用されています。

コマンドバトルといえば、ドラクエやFFといった昔のゲームにもあった誰でも親しみやすいものですが、アクションバトルと比べるとテンポが悪かったり、ロードを挟むためストレスになるといったデメリットが存在します。

しかし本作はそういったデメリットを解決するべく、非常に独特なシステムを設けていました。

例えば、敵の弱点を突いたりクリティカル攻撃を当てると自身のターンを継続できる「1more」状態と、この1more状態で使える「バトンタッチ」。

このバトンタッチを使うことで他のキャラに切り替えて攻撃することが可能になり、異なる敵に弱点を当てて、もう一度1more状態にすることができます。

どういうことかというと、「弱点をつく」→「1more状態」→「バトンタッチ」→「弱点をつく」を繰り返すと敵に一度も攻撃させずに戦闘を終わらせることができるというわけですね。

そんな戦い方はまるでアクションバトルをやっているかのような爽快感を味わえます。

さらにはロイヤルから追加された「ショウタイム」や無印にもあった「総攻撃」の演出はオシャレなUIと相まって、カッコよく気持ちの良いものに。

スマブラをプレイした方ならピンとくるのでは?

また、戦闘終了後はリザルト中に処理を行っているので戦闘→探索の移行がとてもシームレス。

戦闘にスピード感があり、雑魚戦でさえ楽しく戦うことができました。

現代社会の闇を暴く痛快なストーリー

肝心のストーリーについてですが、こちらではネタバレなしの感想を述べようかと思います(ネタバレありの感想記事はこちら)。正直言って本作のシナリオをネタバレなしに語るのは相当難しいので拙い表現が多くなってしまうかもしれませんがご了承ください。

結論から言ってしまうと、他のRPGと比べてラストまで長い物語でも起承転結がしっかりしており、全体として見ても「痛快ジュブナイル(少年たちが活躍する物語)」というテーマに沿った素晴らしいシナリオでした。

少年たちの成長といえば、主に「ゼノブレイド」シリーズが挙げられますが、こちらは私たちにとって馴染み深い「高校生(少年)」たちの成長物語となっていて現実にもある高校生らしい悩みや葛藤、

そして大人に対する怒りを心の怪盗団である主人公たちが「改心」の力で解決していく、まるで「フィクション」と「ノンフィクション」の融合を描いています。これには驚きを隠さずにはいられなかった。

というのも物語では体罰から薬物売買、ブラック労働といった現代社会で課題とされている事に触れており、こういった社会の際どい問題をゲームで提示してくるのは非常に斬新かつ特別な力を持った高校生が解決していく構図にも魅力があったからです。

怪盗団に対する民衆の意見は常に変わる

普通、怪盗は自分のために「宝」を盗んでいきますが、心の怪盗団は高校生らしい真っ直ぐな意思のもと、他人のために心という「オタカラ」を盗んで改心をしていきます。

ですが真っ直ぐな意志が故に仲間と意見のすれ違いが起きたり、あまりの大物に手を出してしまって、ただの改心ではないもっと大きな意味での改心をしなければならなくなったりと二転三転する展開にどんどん引き込まれていくんですよね。

簡潔に言えば、「現実がこうだったらいいのになぁ……」という理想や思想を叶えてくれるのがペルソナ5という物語の真髄と言えます。

是非とも皆さんにはUIや戦闘のスタイリッシュなイメージとは裏腹な暗く独特なストーリーを楽しんでいただきたい。ギャップの差に驚くことでしょうし、私のいう『「現実がこうだったらいいのになぁ……」を叶えてくれる物語』の言葉の本当の意味がわかると思います。

様々な点において良いメリットがあるコープ活動

本作もペルソナシリーズの恒例の「コープ活動」があります。

コープ活動というのは現実世界で行う主人公と特定の人物の仲を良くする活動や人間力をあげる活動のこと。いわゆるサブクエストのようなものです。

基本的にコープ活動で絡んでくるキャラクターは怪盗団のメンバー以外、怪盗としての主人公の存在は知らず、学生としての主人公と接することで絆を深めていくことになります。

異性のキャラクターとは絆を深めることで恋人関係になることもできます(選択肢に気をつけましょう)。

それ以外にも絆を深めれば深めるほど、良いことが起こります。例えば「戦闘中に前衛と後衛を入れ替えることができるようになる」「物品の販売価格が割引される」「授業をサボれるようになる」「ダッシュ攻撃で敵を瞬殺できるようになる」などなど。

関わるキャラクターはそれぞれに悩みや不安を持っていて、サブ要素であるのにしっかりとストーリーが作り込まれていて非常に好印象でした。

中には際どいことも作中で描いていてより一層物語に没入できる良い体験だったと思います。

高校生活のシミュレーション

主人公は怪盗団として活動しますが、元々は立派な高校生。ペルソナ5では戦闘やフィールド攻略とは一味違う実際の高校生活をゲームでも味わうことができます。

私自身、初めのうちは「高校生活のパートは所詮おまけ程度なんだろうな」とあまり期待していなかったのですが、これが驚くことによく作り込まれていたんですよね。

授業やテスト、恋愛や友達の付き合いといった基本的な高校生らしいことはもちろんのこと、アルバイト(中には夜モノも……?)をしてお金を稼ぐことさえできます。

アルバイト先には怪盗団メンバーがきてくれることも。

授業は毎回プレイヤーが答えていくのですが、中には「全くわからんな…」と思ってしまう問題もあって意外でした。いくらゲームとはいえど定期テストで学年一位を取るのは難しいと思います…笑

恋愛は会話をする相手との選択肢によって後々の結末が大きく変わるので、あなたの恋愛経験が試されることになるでしょう!ちなみに恋愛対象相手は10人います……浮気しないでくださいね??

また本作の舞台となる東京の街ではプレイできるミニゲーム(娯楽)も豊富にあります。

例えば

  • バッティングセンターで遊ぶ
  • 釣りをする
  • ダーツをする
  • 友人とTVゲーム
  • 大富豪

などなど……。ちなみにこれはあくまでも私がプレイしたミニゲームの一覧であって、やり込めば他のミニゲームもまだまだあります。

簡単そうに見えて意外と難しい…

一見すれば本編とは関係ないミニゲームが面白さに繋がるのか?と思う方もいるかもしれませんが、むしろミニゲームというラフにやれるものがあったからこそ、クリアまでしんどくなることがなかったのではないかと思うわけです。(このミニゲームをプレイすることで人間コープも上げれますし)

徹底的に再現された東京の街と特段と長いダンジョン

愛知県民である私は東京なんていう「The・都会」とは無縁な人間ですが、それでも東京の雰囲気をゲームで味わえたのは斬新でした。

JRPGのフィールドは仮想の舞台がほとんどだと思いますが、本作は実際に存在する場所を再現し、そこを舞台としているので海外人気も凄まじいわけですね。

こちらは現実とペルソナ5の東京の街を比較した記事なのですが、見ると徹底的に東京の街が再現されていませんか。多少の違いはあれど完成度に驚かされました。

対してゲームオリジナルのダンジョンの完成度はというと、実はあまり高くないんですよね……。簡単にいえば「長い」「ギミックは種類は多いけど単調」という感じ。

後者は改善の余地がありますが、前者はおそらく開発側の想定とプレイヤーの想定の行き違いによって起こった問題なので仕方ないかな?とは思いますが…。

とはいえペルソナ4までは自動生成ダンジョンだったので、それに比べればペルソナ5のダンジョンに対するやりがいや攻略する楽しさは評価できます。ロイヤルからは新しいギミックや仕掛けも増えましたから。

ちなみにペルソナ5でもメメントスという自動生成ダンジョンを探索することができますよ(あくまでもオマケ的要素ですが最終的にどうなるかは遊んでみてのお楽しみ)

世界観を更に彩っているBGM

アトラスのサウンドチームすげぇ

本作のオープニング曲である「Colors Flying High」を聴いた時、間違いなくこのゲームは音楽に長けていると肌で感じました。

何がすごいかというと、スタート画面の曲「Royal Days」でさえ頭に残るメロディ(楽曲)だということ。私が思うゲームの音楽が素晴らしいゲームである「ゼノブレイド2」もスタート画面の曲が印象的ですがこちらも負けず劣らずです。

戦闘曲である「Last Surprise」「Take Over」の場合、前者は無印ペルソナ5の戦闘BGM(標準)だったこともありオシャレ感が滲み出ていて、後者はそれこそ「ゼノブレイド2」のような勝ち確BGM、まさにロイヤルの名にふさわしい音楽となっています。

サントラは、SpotifyApple Musicでも聴けますから是非とも聴いてみてください。

悪いところ


理不尽な戦いを強いられることがある

戦闘について解説した時に触れた、弱点をついたりクリティカル攻撃を当てると自身のターンを継続できる「1more」状態ですが、実はいうとこれはプレイヤー側でだけでなく敵側にも適用されています。

即ち、普段プレイヤーが敵にやっている「君たちには攻撃させませんよ〜ww」の戦法が、逆に敵からプレイヤーに向けて使われることもあるんですよね。

例えば、主人公のジョーカーだと疾風属性が弱点なので、疾風属性持ちの敵にはめっぽう弱く簡単に1more状態にさせられてしまいます。

最悪の場合だとその1more状態からジョーカー以外の味方がクリティカル攻撃を受けてしまってもう一度1more状態にさせられることもありえるわけです。

具体的にこれの何が辛いのかというと、ジョーカーはパーティーから外せない強制メンバーであったり、味方が生きていたとしてもジョーカーのHPが0になった瞬間ゲームオーバーになる仕様と相まってゲームそのものが進めずらくなるんですよね。

特にジョーカーのHPが0になったらゲームオーバーになる仕様は非常に辛かった。味方のリカバリー能力もありますが確定で発動するわけではないので意味がないです。

現実パートでは「使い回し」感を覚えるかも

正直膨大なボリュームを持つ本作に対し、この発言は酷いかもしれませんが現実パートでの「使い回し」感が少し気になりました。

例えば主人公たちの服装は「夏」「冬」のバリエーションがあるだけで細かな服の違いはなく、ほとんど同じ服装で過ごすことになるので違和感を覚えます。

男性キャラなら100歩譲って分かるのですが女性キャラの持つ服装がデフォルトだと1着、2着というのは……。

それに授業パートはプレイヤーの成績がどれだけ良くても周りの反応は変わりませんからこれまた没入感を削ぐ元になっています。

オートセーブなし

個人的な意見ですが、今どきオートセーブがないゲームは厳しいです。

私の場合だと、オートセーブがないせいで約1時間分のプレイ時間がなかったことになりました

悪いところの1番最初に「理不尽な戦いを強いられることがある」と書きましたが、それと相まった結果ですね。(理不尽にやられてしまい1時間分がなくなった)

あの敵との戦いの難易度が異常

詳しくいうとネタバレになるので言えませんが、物語の中盤ぐらいで出てくる“あの敵”が本当に強すぎてプレイ続行が厳しくなるところでした。

具体的にいうと、2ターンのうちに敵四体を同時に倒さなければならないんです。しかも出てくる敵四体のパーティ種類は5つほど。つまり2ターンのうちに敵四体を倒しても、更に強い敵四体が召喚されてそれも2ターンで倒さなければボスに攻撃することができません。

正直ここは戦闘のレビューでも話した「バトンタッチ」を駆使しないと攻略は不可能だと思います。私は“あの敵“と戦ってから「バトンタッチ」の強さに気づけたのでポジティブに考えれば良いボスでしたが、それでもよく諦めずにプレイを続けれたなといった感じ。

ちなみにですが「バトンタッチ」を駆使して強さに気づいてもなお、ボスを倒せなかった私。悔しながらもDLC最強キャラと言われている「伊邪那岐大神」を使ってようやく倒すことができました……どちらも強すぎる。

まとめ

ペルソナ5 ザ ロイヤルは最初から最後まで驚きに満ちた素晴らしい作品であったし、個人的には今までプレイしたゲームの中で1位2位を争うほど面白いと感じたゲームでした。

スタイリッシュな戦闘、他に類を見ないUIの作り込み、その2つとは裏腹に闇を描くボリューミーなストーリーなどいたるところで“こだわり”を感じ、製作陣がいかにこのゲームの制作に対して熱心に取り組んできたのか、ひしひしと伝わります。

間違いなくJRPG史に残る神ゲーの1つですし、時間がある人(特に中高生の方!)には是非ともプレイしていただきたいです。アニメ調のゲームに対する印象が大きく変わるでしょうし、自分の価値観でさえ変わるであろうポテンシャルがこの作品には秘められています。

ここまで見ていただきありがとうございました。参考になれば幸いです。